2013年

6月

03日

簿記検定と経理実務PART2

税理士事務所や会計事務所への就職には簿記検定の2級程度の資格は必須となっているケースが大半です。一方で実務経験年数も必須になっているケースも大半です。なぜ、実務経験が必須なのか。これは簿記検定があまりにも実務と乖離しているためです。簿記検定2級程度であれば数カ月の勉強期間で十分に合格できます。しかし、即戦力として業務に携われるかというと難しいと思います。これは日本の会計の体系に原因があります。我が国の会計というにはトライアングル体制といわれるように3つの制度会計から成り立っています。1つは金融商品取引に基づく会計、2つ目が商法に基づく会計、3つ目が法人税法に基づく会計です。簿記検定は基本的に金融商品取引法及び商法に基づく会計制度を前提として問題が作られます。特に簿記検定1級となると、上場会社の経理を前提とした問題が出てきますが、その中で重要な論点に税効果会計といわれるものがあります。簡単に概要を述べると、税法会計と金融商品取引法会計の差異に基づく将来の税金の増減を決算書に反映させる制度です。例えば、貸倒引当金等の引当金は法人税法では認められておりません。しかし、金融商品取引法では将来発生する可能性が高い損失は当期に費用として計上することを要求しています。そのため、金融商品取引法上の会計制度では引当金を計上するけれども、法人税の計算ではこれを否認する、すなわち法人税を利益額に対応する税額よりも多く支払うことになります。しかし、将来貸倒が発生した場合には、法人税法上は経費になりますが、金融商品取引法では既に引当金として計上しているので経費になることはありません。すなわち、この期には法人税は利益額よりも少なくなることになります。すなわちこの期に際は解消されることになります。このような将来の税金の増減を繰延税金資産または負債として計上する制度が税効果会計です。しかし、一般的に税理士事務所や会計事務所が扱う中小企業ではこのような会計制度は使いません。なぜなら、最初から差異が生じないように法人税法の会計処理を前提にして日々の経理を行うからです。ここに簿記検定の実務への対応の不十分さがあり、それを補うために、実務経験を求められる原因があるということです。税理士試験や大学の勉強などで法人税法を勉強されていると税理士事務所では重宝されるかもしれませんね。