消費税に軽減税率は必要か

今月に入り、日経平均株価は20000円の大台を超え、バブル再来の予感すらある、今日この頃です。

ただ、これもよく言われる事実ですが、我々中小企業にとっては、全く実感のわかない現実でもあります。

消費税の増税の影響もあまりないようで、ある意味日本経済の底力のようなものを感じます。

 

さて、その消費税ですが、2017年4月より10%に引き上げらることが決定しています。その際に品目別に軽減税率を導入するか否かが今後の争点になっているわけですが、自民党税制調査会は2015年度税制改正では「長期検討」と位置付け、具体化を先送りすることを決めたそうです。

 

税理士事務所の業務の観点からすれば一安心といったところですが、なぜにここまで軽減税率にこだわるのか正直なところ分かりません。諸外国では税額控除で低所得者への税負担を抑えるなどの対策を取っていますが、なぜ我が国ではこの議論はされないのでしょうか。

 

軽減税率の最も大きな問題は不公平さが如実に表れることです。軽減税率の議論が本格的に行われるようになれば、間違いなく財務省には様々な業界からの陳述が横行します。その見返りとして、天下りをはじめとする、様々な利権が生まれます。このようなことは目に見えているのになぜに軽減税率にこだわるのでしょうか。

 

少なくとも増税分の消費税を例えば所得税から所得に応じて、数万円程度の税額控除を導入すれば、誰も困らないはずです。寧ろそちらの方が、税額計算も単純化され、業界間の不公平も生じません。

 

なのに、ここまで軽減税率にこだわるのは、別の意味があるのではないかと勘繰ってしまいます。

 

ただ一方で公明党が現在品目の仕分けを行っているそうですが、どのような仕分けを結果的に行われるのか見てみたいと言う興味もあります。生活必需品には軽減税率を適用という一言だけですが、スーパーに行けば様々なランクの生活必需品が置いてあります。例えば今晩は焼き肉をしようと精肉売り場に行けば、安いオーストラリア産の牛肉もあれば、値の張る国産和牛まで置いてあります。これはどのように線引きをするのでしょうか。食料品は一律軽減税率適用となるのでしょうか。衣料品もしかりです。

さらに現在対象に挙がっている項目に新聞があるのも不可思議です。新聞が軽減税率適用なら、他の書籍はどうなのでしょうか。更にマンガはどうなるのでしょうか。何となくマンガはダメな気がします。では数年前に「もしどら」というドラッガーの経営理論をマンガのイラスト入りで出版した本が大ヒットしましたが、これなんかどのように扱われるのでしょう。

 

現実的には線引きは不可能だと思われますが、それをあえてやろうとしているようで、どのような線引きを提示されるのか興味深々です。