2015年

11月

10日

非居住者への役務提供の話

本日、スタッフの知り合いという行政書士さんから連絡があり、外国人の方が起業を考えているので経理の相談にのってあげてほしいと連絡を受けました。

行政書士さんだけにポイントを押さえてヒアリングはして頂いていましたので、電話だけでしたが概要はよく理解できました。我々は電話で問い合わせがあった場合、大まかなヒアリングをして、問題点を抽出し、実際にお会いして打ち合わせの際に、その問題をクリアしていくというプロセスで仕事をするのですが、今回のヒアリングの中で気になった点が、外国人の方向けにサービスを提供した際に、その対価には消費税は課税されるのか否かという点でした。

一般的には外国人(専門用語では非居住者といいます)の方に物を売ったりサービスを提供しても消費税が課税されることはありません。当然といえば当然ですが、国内で仕入れたもの国際郵便でアメリカ人に販売しても、そのアメリカ人が日本の税金である消費税を納めることはないというのはイメージがつきやすいと思います。

では物の販売場所が国内であった場合はどうでしょうか。典型的な例が外国人観光客が日本に旅行に来て、物を購入した場合です。この場合は原則は消費税はかかりません。免税店というのは外国人向けに消費税が免除されるお店ということですお店ということです。しかし、免税店で購入すればすべての商品が免税になるかというとそうではありません。例えばジュースやお弁当などその場ですぐに消費してしまうような消費してしまうような商品が免税になることはありません。

これは消費税法基本通達に規定されています。

(非居住者に対する役務の提供で免税とならないものの範囲)

7-2-16 令第17条第2項第7号《非居住者に対する役務の提供のうち免税となるものの範囲》において輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供には、例えば、次のものが該当する。(平15課消1-13により改正)

(1) 国内に所在する資産に係る運送や保管

(2) 国内に所在する不動産の管理や修理

(3) 建物の建築請負

(4) 電車、バス、タクシー等による旅客の輸送

(5) 国内における飲食又は宿泊

(6) 理容又は美容

(7) 医療又は療養

(8) 劇場、映画館等の興行場における観劇等の役務の提供

(9) 国内間の電話、郵便又は信書便

(10) 日本語学校等における語学教育等に係る役務の提供


1から10までの項目は外国人に対する人に対するサービスの提供であっても消費税は課税されるとしています。消費税が課税されるされないの判断基準は何かというと、提供されたサービスが国内だけで完結するか否かです。飲食代などはその場で消費するだけなので、国外にサービスの効用が流出することはありません。よって国内完結型の取引は外国人であっても消費税を課税するという仕組みになっています。


何となく理解できますが、では外国人旅行客のカメラを修理した場合の修理代金はどうなのでしょうか。これはインターネット上でよく見かける事例ですが、修理したカメラは自国に持ち帰っても使えるからという理由で課税されないとわれています。


実際に国税不服審判所で審議された事案では、外国法人向けにセミナーを行った事例で、その対価に消費税が課されるか否かが争われました。請求人側の主張は「セミナーの効果が国外に所在する本件外国法人の工場等の現場において完結」するた消費税は課税されないというのもです。上記のカメラの修理の事例に重ねると、自国に戻ってからも使えるからという理由づけに類似します。一方で国税側は「非居住者が直接便益を享受する場合には、当該役務の提供は輸出免税取引とはならないと認められるので、役務の提供の効果が国外で生ずるか否かは、輸出免税取引となるか否かの判断基準となるものではない」として消費税を課税しています。結果的に国税側の主張が認められています。


ここで問題は「直接便益を享受」しているケースか否かです。「直接便益を享受」している場合は、効果が国外で生じるか否かは関係ないと書かれていますので、裏を返せば「間接便益を享受」している場合は、国外で効果が生じる場合は免税ということになります。

上記カメラの修理の事例では、「間接便益」ゆえに、自国に持ち帰っても使えるから免税という理論展開になります。


では、そもそも「直接便益を享受」とているとはどういう意味なのか?ここまで来ると、専門書を調べるだけでは答えは見つかりません。大学院等の研究機関で研究する問題になりそうですね。