2016年

1月

26日

リバースチャージ方式

平成27年10月1日以後の取引から消費税にリバースチャージ方式なるものが導入されました。

既にamazonや楽天などから通知が来て言葉くらいは聞いたことがある方も少なくないと思いますが、詳しい内容まで知ろうとする人は少ないと思います。多分税理士さんの間でも詳しく調べている方は少ないかと思いますが、結論から申しますと、中小企業には影響がなさそうだからです。

とはいえ、どのようなものか気になるので、概略を記しておきます。はっきり言ってややこしいです。

 

まず、なぜにこのような複雑な制度の導入が求められたかといいますと、例えば、同じ音楽でも海外の事業者からインターネット経由で購入すると、外国の会社に消費税を課税するわけにはいかないので、これまでは消費税の課税は行われていませんでした。そうすると、同じサービスを提供しても国内事業者と国外事業者では税負担に差が出てくることになります。

 

そこで導入されたのがリバースチャージ方式といわれるものです。簡単にいえば、本来、消費税とはサービスを提供した側が納税義務を負うますが、この方式のものでは、サービスの提供を受けたものが納税義務を負うことになります。

 

国税庁の公表している説明では以下のように説明がされています。

 

「電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われ
る役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準(内外判定基準)を、役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地から、役務の提供を受ける者の住所等とする見直しが行われました。
これにより、国内に住所等を有する者に提供する「電気通信利用役務の提供」については、国内、国外いずれから提供を行っても国内取引となります。

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」については、「事業者向け電気通信利用役務の提供」とそれ以外のものとに区分することとされました。
消費税法においては、課税資産の譲渡等を行った事業者が、当該課税資産の譲渡等に係る申告・納税を行いますが、「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、国外事業者から当該役務の提供を受けた国内事業者が、「特定課税仕入れ」として、申告・納税を行う、いわゆる「リバースチャージ方式」が導入されました。
なお、電気通信利用役務の提供のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のものについては、その役務の提供を行った事業者が消費税の申告・納税を行うことになります。」

 

正直何を書いているのか理解するのが難しいですが、前半部分については、上記で説明したとおり、国外事業者との取引も課税取引として消費税がかかりますという内容です。

大事なのは「電気通信利用役務の提供」には「事業者向け」と「それ以外(消費者向け)」の2通りのパターンがあるということです。

「消費者向け」のケースでは海外事業者が納税義務を負うと書かれていますので、裏を返せば、リバースチャージ方式が採用されるのは事業者向けだけということになります。

 

どんどん複雑になりますので、大まかな概略だけ今回は見ていきます。

 

まず消費者向けのケースでは国外事業者が納税義務を負うということは、購入した側は通常の課税仕入れとして処理してもよいかというとそうではありません。この改正に伴い新設された登録国外事業者名簿として登録している事業者からの購入だけ課税仕入れにして良いことになっています。登録国外事業者名簿は国税庁のホームページで公開されていますので、ここに掲載されているか会社か否かで処理が変わるということです。

 

一方で事業者向けのケースでは、リーバースチャージ方式が採用され、購入者側が消費税の納付義務を負います。

しかし、経過措置で以下のものは納税義務が免除されています。

・課税売上割合が95%以上の事業者

・簡易課税の適用を受ける事業者

・免税事業者

多くの事業者の課税売上割合は95%以上ですので、リバースチャージ方式による経理処理は不要となります。

 

一応、リバースチャージ方式が採用された場合の経理処理を記しておくと以下のようになります。

 

例)例)香港の事業者から日本の事業者へ108円の「事業者向け電気通信利用の役務の提供」があった。

  課税売上割合は50%とする。

 

仕訳

購入時  仕入       100/買掛金     100

       仮払消費税   8/仮受消費税     8

決算時
            仮受消費税     8/仮払消費税     8

      雑損失      4/未払消費税     4

 

購入時には仮払消費税と仮受消費税を両建てで計上します。決算時には反対仕訳で相殺しますが、取引がこれだけだとすると、課税売上割合が50%ですので仕入れ税額控除の対象にならない消費税分だけ納税義務が発生するということになります。

 

今後の改正で適用範囲の拡大も含めさらに複雑な制度設計になる可能性は十分にあります。正直なところ、中小企業にここまでの経理処理を要求するのは過酷な気がします。軽減税率の議論も含め、もう少し簡素な税制を構築できないものか。我々専門家にとっても難題です。