2016年

3月

24日

今年度の確定申告を終えた雑感

今年の確定申告も何とか終え、先日、お客様には申告書の控えの返送を行いました。

毎年、確定申告を行う件数も増えており、その年のトレンドのようなものも感じます。

その一つがふるさと納税の件数の増加です。

 

各種メディア等でも取り上げられることが多いので、概要はご存知の方も多いと思いますが、大まかに概要を記すと、例えば10,000円を自分が好きな自治体に寄付をすると、8,000円分の所得税、住民税が減額されるという制度です。これだけなら2,000円損することになるので、ふるさと納税を行う人は限定されると思いますが、実際には、寄付を行った自治体から返礼品が贈られてきます。この返礼品には一般の市場では2000円では絶対に購入できないだろうと思われる物が多数存在します。

一例をあげると宮崎県都城市では10000円の寄付で国黒豚4kg、宮崎県東諸県郡綾町では葡萄を餌に育てた綾葡萄豚3kgといった具合です。これらの品はスーパーや百貨店で購入すると、実質負担額の2000円どころか、寄付金額の10,000円すら超える値段がついているはずです。税金は安くなる、支払った金額よりも高い品がもらえるとなると、やらない手はありません。

 

ふるさと納税の増加の背景にはこの極端に高額な返礼品があるわけです。その為、人口の多い横浜市などは本来、受け取れるはずの住民税がふるさと納税により目減りしたため、税収が減少しているとの報道もあります。

 

ちなみに、私の故郷である広島県福山市のふるさと納税の返礼品を調べてみると、薔薇の街らしく、10,000円の寄付で「薔薇の花束」、「薔薇のお茶」、「桐下駄」などが選べるようです。ふるさと納税の本来の趣旨は、故郷への恩返しといったことですが、正直な気持ちは「花束もらってもなあ・・・」ということになってしまいます。結果として、ふるさと納税の額も200万円ほどとなっており、上記都城市(平成27年寄付金額13億円)と比較すると、600倍以上の差が出ています。

 

我々税理士は納税者が持参した寄付金の控除証明書を持って確定申告を行うわけですが、ほとんどの方は、全く関係のない自治体へ寄付しており、本来のふるさとへの恩返しといった趣旨は実現されているとは思えません。

私も、本来であれば福山市に寄付を行うべきですが、同じ金額を寄付するのであれば、申し訳ないけれども都城市や綾町にすることになるでしょう。高級豚肉でバーベキューでも出来れば従業員の福利厚生にもなります。

 

そもそも、返礼品が高価になれば、その分、税収は減っているわけで、各自治体同士のふるさと納税を集めるための競争がさらに激化していけば、結果として自分たちの首を絞めることになります。もちろん、全く知られていない町が、ふるさと納税という制度のもと一躍有名になるという宣伝効果はありますが、継続的な地域おこしに発展するのかは疑問です。ましてや、宣伝のために、この高額な返礼品をずっと続けるということも考えにくいと思います。

 

そう考えると、結果的にふるさと納税制度により、国全体では税収の減少を招いているだけで、どこかで止めなければ、別のところに皺寄せが来るのではないかと危惧しています。