最初に行うべき節税対策

ここ数年、好景気と言われて久しいが、なかなか中小零細企業には好景気の実感がわかない時期が長らく続いておりましたが、ここへきて、何となく中小企業まで波及してきたのではと感じることがしばしばあります。

北朝鮮の問題などで全く力強い上向きという気はしませんが、大幅に利益を上げてきている中小零細企業も増えているように感じます。

さて、利益が出ると税金の問題が発生します。儲けにかかるのが法人税ですので、儲かった分は税金を払うのが筋ですが、税金を払うくらいなら会社にお金を留保しておきたいというのが経営者の率直な考え方だと思います。

税理士さんに相談をすれば様々な提案をしてくれると思いますが、中にはそれはおかしいでしょうと言いたくなるような提案をしてくる方もいらっしゃるようです。

よくあるのが、節税のために税理士から保険契約を勧められたので、言われるがままに加入したというケースです。

決して保険が悪いわけではありませんが、不安定な景気の中で、20年30年と相当な金額を払い込まなければ大損をするような保険への加入は相当慎重に判断すべきです。保険を使った節税は基本的には税金の繰延であり、返戻率のピーク時に退職金などと抱き合わせで解約するというプランになりますが、ピークを迎えるまでの期間が長すぎる保険というのはあまりにもリスクがあり過ぎます。私であれば、多少返戻率が低くても、いつ解約してもある程度のお金が戻ってくる保険への加入を勧めます。

話がそれましたが、中小企業の経営者はまず、共済制度を利用した節税を行うべきです。この制度の優れた点は払込金額が全額費用として認められる点と40カ月経過後はいつでも満額返ってくるという点です。一般に保険では返戻率がピークに達する期間に解約を行う必要があるため、結果として全く節税にならなかったというケースは少なくありません。

経営者の方はまず共済制度へ加入することをお勧めいたします。

ちなみに税理士事務所でも保険の契約を積極的に勧誘する事務所が少なくありませんが、もちろん、本当に会社の為であればよいのですが、保険の手数料というのは一般の方からすれば信じられないほど高額なのも事実です。

当事務所でもこれまでに必要性に応じて保険の提案はしていますが、最初はその手数料収入の高さにびっくりしました。

そこで初めて、なぜ税理士事務所がこれほどまでに保険を積極的に販売しているのか理解できました。

保険は節税の為だけのものではありません。あくまで企業の存続を担保するための保障を得るという企業防衛観点を忘れないようにしましょう。