仮想通貨の税金

昨年は仮想通貨元年と言われるように、年初から比べると多くの通貨の取引価格が数十倍に膨れ上がり、億り人なる言葉も生まれました。一方で、我々税理士の間では確定申告をどのように行うのか(計算すれば良いのか)という疑問がずっとありましたが、年末近くになって、やっと国税庁から「仮想通貨についての所得の計算方法等について」という6ページしかないpdfが公開されました。

ただ、ここではっきりとしたことは、それまで現金に換金したものだけが所得になるといった見解の少なくありませんでしたが、そうではなく仮想通貨から仮想通貨といった売買でも所得が生じることが分かりました。

例えば、仮想通貨の中の基軸通貨であるビットコインを購入し、その後ビットコインでモナコインを購入したという場合であっても、従来は円に換金されていないため所得は発生しないのではないかと言われていましたが、国税庁の見解では、一旦ビットコインを円に換金して、さらにその円でモナコインを購入したという2段階の過程を踏んでいる取引ととらえ、ビットコインと円を交換したという最初の取引で所得が発生していると考えます。

結果として膨大に膨れ上がった時価総額の仮想通貨を保有している場合は、同時に多額な所得が発生し、それに伴い所得税も発生することになります。

確定申告が終わって数か月が経ちますが、この時期に仮想通貨の話題を取り上げましたのは、この時期は仮想通貨がらみの税務調査が実施され始めているからです。

昨年から仮想通貨をはじめられた方の中には確定申告をされていない方が少なくないはずです。理由の一つが昨年中は換金しなかったからという方もおられると思いますが、換金していなくとも、ビットコインを他の通貨に交換した時点で所得は発生しています。

現在ビットコインをはじめとする仮想通貨は昨年末から比べると軒並み半値以下、多くが1/10程度まで価値は落ち込んでいます。

つまり昨年は時価が上がったために換金はしていないけど税金は取られ、現在は換金しても最初の投資額にすら満たないというダブルパンチ状態となっています。

また、前述の国税庁のpdfは6ページにか無いので、詳しい課税関係は不明なままです。例えばicoと言われる仮想通貨での投資についての記述がありません。icoというのは例えばある会社が資金集めを行う際に、仮想通貨で投資を集め、その見返りに投資先の会社が発行するトークンと言われる新たな仮想通貨を付与するというものですが、このトークンは付与されただけで、売買することすらできません。この場合の課税関係などは書かれていませんが、税務調査を対応している限りでは仮想通貨同士の売買と同様に、ICOの時点でも一旦仮想通貨を換金して、円でトークンを購入したという理屈は同様のようです。

兎に角、確定申告の時期は終わりましたが、仮想通貨の税務調査はこれからが本番です。

 

確定申告をされていない方、税務署から連絡があったという方がおられましたら、当事務所までご連絡ください。