を書公認会計士と税理士の違いく

確定申告も大詰めを迎えています。

当社は比較的法人のお客様の多い事務所かと思いますが、それでも毎年数十件の確定申告書の作成をしています。毎年申告書を作成しているお客様もいますが、中には突然問い合わせがあり、確定申告を行うお客さんも少なくありません。

その場合は、当然前年度まので確定申告書も申告資料とあわせて頂く訳ですが、感覚的に税理士さんが作成している申告書と公認会計士さんが作成している申告書での差異は毎年感じます。

これは本来的な業務の違いに由来するのだと思いますが、やはり公認会計士さんが作成する申告書は細かな誤りや申告書への記入の仕方が大雑把なケースが多いように思います。一方で税理士さんの場合は本職であることもありますが、かなり精緻に作成されるケースが多いように思います。あくまでも主観ですが・・・。

私も以前は公認会計士さんが代表を務める会社に勤務していましたが、もともとが扱う金額が大きいですから細かなことは気にしないと言うのは気持ちは分かりますが。そもそも有価証券報告書など100万円単位です。

特に配当や土地建物などの譲渡などがあったケースの申告ではその傾向が顕著に出るような気がしています。

先ほど作成していた申告書では申告分離課税を選択しているのになぜか配当控除も適用されていました。

配当に関する税金の申告には3通りあります。一つは源泉分離課税と言われるもので、所得が発生した時点で税金が天引きされて証券会社等が税務署に支払って納税が簡潔するケースです。分離課税の所得税率は15%(プラス復興税)なので、給与などの金額が多い人はこちらを採用したほうが税金は安くなります。二つ目は総合課税といわれるもので、これは給与などの他の所得と合算して申告するものです。総合課税の場合、所得税率は累進課税になり所得が多いほど税率は高くなります。よって分離課税の所得税率15%よりも税率が高くなるか否かで分離課税を選択するか総合課税を選択するかという判断が必要になるわけです。また総合課税の場合のみ配当控除(配当の10%)が利用できるため、所得税率が25%(25-10=15%)が分離課税と同率になる分岐点となります。実際には住民税の配当控除なども加味するので正確ではありませんが(※)、25%前後の所得税の分岐点は所得金額695万円になります。つまり所得額がこの額を超える場合は分離課税を選択したほうが有利ということになります。3つ目が申告分離課税といわれるもので、これは例えば配当とともに株式の譲渡損などがあれば、損益通算を行う際に利用します。例えば配当金額が100円あり、株式の譲渡損失が500円あれば、差し引き-400円となり所得はゼロになります。さらにこの損失は翌年以降3年間繰り越して、所得と相殺することも出来ます。但し、この場合、配当控除は利用することは出来ません。所得がゼロなので当然です。

 

※読み返してみて、あまりにも大雑把過ぎるのでもう少し詳しく。

所得金額が695万円を境にして所得税率は20%から23%になります。

所得税率20%で配当控除及び住民税率とその配当控除を加味した税率は以下のようになります。

   所得税     20%

   復興税     0.21%

   配当控除   -10%

   住民税     10%

   配当控除   -2.8%

   最終的な税率   17.41%

 

所得税率23%で配当控除及び住民税率とその配当控除を加味した税率は以下のようになります。

   所得税     23%

   復興税     0.273%

   配当控除   -10%

   住民税     10%

   配当控除   -2.8%

   最終的な税率 20.473%

 

源泉分離課税の税率

  所得税     15%

  復興税     0.315%

  住民税     5%

  最終的な税率 20.315%

 

結論は所得税率23%になった時点で分離課税の税率を上回るので、所得が695万円を超える場合は分離課税が得ということになります。